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塗装前に自宅をチェック!塗装が不要・必要な屋根・外壁の種類
- 2015/5/3
- 屋根・外壁(素材種類・色)について
- 施工方法, 塗料
突然ですが、ご自宅の屋根・外壁の種類が何か知っていますか?この様な質問をさせて頂くと、殆どの場合あまり正確に知らなかったりします。屋根にも外壁にも塗装が必要なケースと別に塗装をする必要が無いケースがあります。アクドイ業者などは別に塗装をする必要がないのに、『これは塗っておかないと傷んでしまって大変なことになりますよ』的なことを言って来たりしますので、ご自宅の屋根・外壁は塗装が必要なのかどうなのか?は知っておいて損はありません。今回はよくある屋根・外壁の種類とその特徴についてご紹介いたします。
1. 屋根の種類
まず、屋根の種類ですが一般的によく使用されているものというと、以下の6種類になります。以下の屋根材で全体のシェアのほぼ95%となります。
・日本瓦(いぶし瓦・釉薬瓦・素焼き等)
・セメント瓦
・コロニアル(カラーベスト)
・金属屋根
・波型スレート屋根
・モニエル瓦
1-1. 日本瓦とは
日本瓦は約2800年前に中国にて生まれ、約1400年前に日本に伝えられたと言われます。粘土を形成し約1100度程度の高温で焼くので非常に耐久性にすぐれています。以前は殆どがこの日本瓦でありましたが、新築物件につきましてはカラーベストや洋瓦が主流となっています。 ⇒日本瓦とカラーベストの施工費用について
日本瓦は基本的に塗装をする必要がありません。というのも塗装をするという意味は、美観性と耐久性(素地を守る)及び+αとして遮熱性といった機能性ですが、
①日本瓦の耐久性は塗料とは比べ物にならず、屋根の種類としては最も耐久性が高く50年以上とも100年以上とも言われます。
②遮熱性についても瓦は元々厚み(27~28mm)があり、熱を伝えにくい(屋内に熱を侵入させない)事もあり遮熱塗料(0.1mm程度)による効果は受けにくいです。
残る塗装の意味としては美観性のみとなりますが、確かにいぶし瓦などは経年劣化により表面があせたりすこともありますが本来の機能である防水性能は保持しております。この色褪せを味ととるかどうかで塗装の美観に対する必要が変わります。実際、日本瓦に対応した塗料も数社からでています。
1-2. セメント瓦とは
セメント瓦は戦後に普及した瓦でセメントと砂を混ぜたモルタルを高圧プレスにより成形したものです。パッと見ると日本瓦とあまり見極めがつきません。ですので瓦というくくりで半永久的にもつものと理解されている方も多いです。なんでウチの瓦はこんなに傷んでいるの?と思われるかもしれません。
理由は、セメント瓦はセメントの表面を塗装で加工したものとなりますので、当然ながら表面の塗装は経年劣化致します(10年程度)ので防水性が低下しセメント素地自体を傷めてしまいます(セメント瓦自体の耐久性は約20年と言われています)。表面の塗装が劣化してくると塗替えが必要となります。
1-3. コロニアル(カラーベスト)とは
コロニアルは安価でデザイン性に優れている事から現在、屋根の種類としては最も多くのお家で使用されております。これも同じくセメントを成形した板を表面塗装で保護した素材となります。
以前はセメントにアスベストを含有して強度を高めていましたが、2004年以降アスベストが禁止となり現在のものはノンアスベストとなります。
コロニアルは他のどの屋根材よりも素地にゴミが付着・堆積し易く、また耐久性も低いと言えます(波型スレート屋根もゴミが溜まり易いですが戸建てでは使用頻度がほぼ無い)。よって、しっかりと高圧洗浄でゴミを取り除き、下塗りを十分塗布した上で施行をしなければ塗装後に剥離の可能性が高い屋根材と言えます。また、もう一つの注意点としてタスペーサー等を使用して縁切りという作業が必要となります。
カラーベストは非常に薄い為(約5mm)、熱を侵入させやすく屋内の温度が影響を与えやすい屋根材と言えます。その為、遮熱塗料が最も有効な屋根材と言えます。
1-4. 金属屋根とは
金属屋根は戸建てで使用される事はあまり多くないですが、工場や倉庫などでは耐久性も高く軽い為、非常によく使われます。
一方で、金属であるが故に熱の伝導率が高く屋内に熱を伝えやすい為、遮熱塗装などを実施されるケースが多いです。また、経年劣化とともに錆の発生もありますので塗り替えの際にはどうしても錆に相性が悪い水性塗料より溶剤塗料を使用する必要がある為、臭いの観点からあまり住宅では好んで使用さる事はありません。
1-5. 波型スレート屋根とは
波型スレートはコロニアルと同じくセメント成形したもので、安価である事から特に工場や倉庫で多く使われてきました。コロニアルと同じく以前はアスベストが含有されていましたが2004年以降アスベストを含有したスレートは製造禁止となり、現在では一切使用しないノンアスベストとなっております。ただノンアスベストタイプは以前と比べて耐久性が落ちたと言われており、金属屋根を使用されるケースが増えつつあります。
基本的に塗装をしていないケースが多い為、多くの屋根はボロボロの状態のものが多い。また劣化によりひび割れが入り漏水し易く、工場で使われる事が多い事から、塗装をされる場合は防水塗装や遮熱塗装を施工されるケースが多い。
実際、工場などでは戸建てと違い屋根の裏面に断熱処理もされていない屋根むき出しの場合も多い為、遮熱塗装の効果は受けやすい。
1-6. モニエル瓦とは
モニエル瓦はお家の屋根の種類としては稀です。セメントを成形するのはセメント瓦やカラーベストと同じですが、その表面にスラリー層という無機質着色剤を塗膜しその表面を透明のクリアー塗装します。
使用される頻度としてはそう高くはありませんが、屋根の塗装としては最も厄介な屋根材と言えます。モニエル瓦は乾式洋瓦と言い他の屋根材と違い先ほど述べたスラリー層というカラー層が瓦の表層にあります。このスラリー層が経年劣化とともに非常に剥がれやすくなっており、その状態で未処理でこの上から塗装をすると非常に高い確率で塗膜の剥がれ(スラリー層と一緒に剥がれます)に繋がります。
この為、塗装を行う際は特に注意をしてケレン(表面をはがす作業)・高圧洗浄を行い且つモニエル瓦専用の下塗り材を使用して施工します。モニエル瓦の施工については『剥離しやすいモニエル瓦の塗装について』をご参考下さい。
※必ず専用プライマーを使います。自宅がモニエル瓦であれば下塗り部分には気を付けてお見積りを確認しましょう。意外と知らずにモニエルを通常の塗り替え通りに施工される業者も中にはいます。私も見たことがありますがものの見事に剥離がおきます。
2. 外壁の種類
外壁の種類は屋根の種類と比べて非常に豊富で毎年新しい素材がでてきております。ただ現状塗り替えが必要な外壁材というと10年程前のものとなります。よく使用されているのは以下の5種類となります。
・窯業系サイディング
・金属系サイディングサイディング(ガルバリウム鋼板)
・モルタル
・ALC
・タイル
2-1. 窯業系サイディングとは
外壁の種類としては最もよく使われている外壁材となります。セメント質と繊維質を窯で圧力をかけて成形して製造します。意匠性にとんでおり、多種多様な模様を施すことが可能となっています。表面には塗装を施しており、サイディング成形時に工場で塗装を施すライン塗装が主流です(現場で塗装をする場合もあり)。最近では耐久性の高い塗料で施工をするケースも増えているようですが一般的には5-7年程度の耐久性のものが多いです。
大手メーカーとしてニチハ・KMEW・旭トステムなどがあり、光触媒機能や親水機能等のセルフクリーニング機能を兼ね備えたサイディングなどで耐用年数も長くなってきています。ただ、いずれにしてもサイディングの場合は目地が必ずありますので通常コーキングがヒビ割れなどを起こして塗装をお考えの方が多いです。
※防水性が失われた状態が続くとサイディングが徐々に反ってしまい、サイディングを新しいものに差し替える必要が出てきます。但し、デザインについては10年後には既に無くなっているケースも多い為、反ってしまったサイディングの部分1枚のみ違うデザインになってしまいます。反る前の定期的な塗替えをお勧めします。
2-2. 金属系サイディング(ガルバリウム鋼板)とは
金属系サイディングは窯業系サイディングと比べるとごくわずかです。アルミや鉄に断熱材を補強して成形します。非常に軽く(窯業系の約1/5)施工性が良いのと、金額も窯業系サイディングに比べて2割程度安いです。但し、欠点としてはデザイン性が高くなく凹凸の少ないものが主流なのもあり多く使用されておりません。また、金属なので熱は伝わりやすくここも窯業系と比べるとデメリットとなります。
2-3. モルタル
モルタルはセメントに砂をまぜたものです。以前は最も多くの家で使用されていた外壁の種類ですが、現在ではサイディング様式が主流となっています。モルタルとサイディングに価格差はあまりなく、洋風を好む方はサイディングを選択されるケースが多いようです。
モルタルは塗装が要らないという方もいますが、モルタル自身もやはり紫外線や雨で劣化し、塗装せずに年数が経つとボロボロとモルタルが落ちてきます。この状態まで来てしまうとその上からモルタルで再度処理して塗装しても旧モルタル部分から剥離してしまう可能性もありますのでやはり塗装は必要と考えます。
デメリットとしてはヒビが基本的にほぼ必ず入る外壁材となりますので大きなヒビ(1mm以上)になって放っておくと漏水の可能性が出やすい素材でもあります。
※モルタルは通常フラット仕上げなので、デザイン性を出す為にリシン吹き仕上げやボンタイル仕上げ、スタッコ仕上げという色々な仕上の種類があり、意匠性を出す事ができます。
2-4. ALCとは
空気が内部に混合された軽量のコンクリートになります。内部に空気が混合されておりまた外壁材で最も厚みがある(100~150mm)為断熱性能に大変優れています。
但し、塗装の際には十分注意が必要です。というのも内部に空気・湿気があるという事は外部を塗装で覆ってしまうと空気・湿気の逃げ道が制限されてしまいますので逃げようとする空気が塗膜を押し上げ膨れの原因になりやすい素材です。ALCの場合は特に弾性力の高い塗料よりも通湿性の高い塗料で施工を行う必要があります。
2-5. タイルとは
タイルは外壁の種類としては最も高額なものになります。モルタルに張り付ける湿式タイプと引っかける乾式タイプがありますが、最近は劣化によるタイル落下の不安が無い事から乾式タイルが多いようです。
タイルは日本瓦と同じく粘土を成形して高温で焼きます。基本的にメンテナンスフリーで且つ高級感がある反面、非常に高価(おおよそ1軒屋で100万円以上UP)です。塗装も行う必要がなく非常に良い下地かと思いますが、外壁は総タイルで屋根はカラーベストなどとなると屋根のみ定期的に塗り替えが必要となりますので注意が必要です(足場代は全面塗装をする場合と同じ費用がかかってしまいます)。
3. ポイント
屋根も外壁もいろいろな種類がありますが、屋根は日本瓦・外壁はタイルの場合に限り塗装は必要ないとの考えで基本的に間違いありません(日本瓦は漆喰、タイルは剥がれ等のメンテの必要性はあります)。ただ、塗装が必要な屋根・外壁についても例えばモルタル外壁で20年以内に改修リフォームをする予定であれば塗装の必要性はないかもしれません。基本的には個人のライフスタイルに合わせて考える必要があると言えます。この他にも、外壁塗装をする前の知っておくべき塗料や塗装についてを色々まとめていますのでよろしければご参照ください。少しは?役に立つはずです(笑)。
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